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特集 腎疾患における臨床研究の進歩
【基礎研究と臨床研究の融合】
CKD患者における骨・ミネラル代謝異常
Mineral and bone disorder in patients with CKD
駒場 大峰
1
KOMABA Hirotaka
1
1東海大学医学部内科学系 腎内分泌代謝内科
キーワード:
CKD-MBD
,
FGF23
,
副甲状腺ホルモン(PTH)
Keyword:
CKD-MBD
,
FGF23
,
副甲状腺ホルモン(PTH)
pp.365-369
発行日 2022年9月25日
Published Date 2022/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000293
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はじめに
慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(chronic kidney disease-mineral and bone disorder:CKD-MBD)は,歴史的に基礎研究と臨床研究の橋渡し・融合が非常にスムーズに進んできた領域の1つといえる。古くは1970年に腎臓が活性型ビタミンD(1,25-dihydroxyvitamin D:1,25D)の産生臓器であることが発見された後,1973年には腎不全患者で1,25Dが著しく低下していることが報告され,さらに1978年という驚くべきスピードで活性型ビタミンD製剤の実用化がはじまっている。1989年には活性型ビタミンD製剤のパルス療法により副甲状腺細胞のカルシウム(Ca)に対する反応性が改善するという現象が報告されたが,1993年にCa感受性受容体(calcium-sensing receptor:CaSR)がクローニングされ,1996年に透析患者の副甲状腺細胞ではCaSR発現が低下していること,活性型ビタミンD製剤によりCaSR発現が増加することが示され,過去の観察が見事に再現されている。1998年には透析患者の死亡リスクの上昇に高リン血症が関連していることがはじめて報告されたが,2年後の2000年にはリンが血管平滑筋細胞の石灰化を誘導することが示され,生命予後の改善を目指して高リン血症を管理することの重要な根拠となった。
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