Japanese
English
特集 ネフローゼ症候群update
【合併症と対策】
血栓症
Thrombosis in the patients with nephrotic syndrome
川田 尚人
1
,
西脇 宏樹
1
KAWATA Naoto
1
,
NISHIWAKI Hiroki
1
1昭和大学内科学講座 腎臓内科部門(藤が丘病院)
キーワード:
ネフローゼ症候群
,
血栓症
,
抗凝固療法
Keyword:
ネフローゼ症候群
,
血栓症
,
抗凝固療法
pp.749-752
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000148
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Ⅰ 疫 学
血栓症はネフローゼ症候群のよく知られた合併症であり,発症率は深部静脈血栓症約15%,腎静脈血栓症25~30%と報告されている1)。原発性および続発性ネフローゼ症候群の患者を対象とした研究(n=298)では,静脈および動脈血栓塞栓症の発症率は,10年間で一般集団の約8倍であるとされた2)。特に発症から6カ月以内の合併が,静脈血栓症は9.9%,動脈血栓症は5.5%と多くみられた。また,ネフローゼ症候群とそのほかの腎炎を比較した研究(n=1,313)では,静脈血栓塞栓症のハザード比は,IgA腎症と比較して膜性腎症で10.8,巣状分節性糸球体硬化症で5.9であった3)。別のデンマークで行われた研究では,血栓塞栓症の発症リスクの調整オッズ比は腎硬化症で1.41,糖尿病性腎症で1.46,多発性囊胞腎で1.48,ネフローゼを呈していない腎炎で2.03,ネフローゼ症候群で2.89とされた4)。また,血栓症の発生はネフローゼ症候群の発症から3カ月以内が多かったと報告している。
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