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特集 ネフローゼ症候群update
【合併症と対策】
ネフローゼ症候群における浮腫と血圧の管理
Management of edema and blood pressure in nephrotic syndrome
唐澤 一徳
1
,
新田 孝作
1
KARASAWA Kazunori
1
,
NITTA Kosaku
1
1東京女子医科大学 腎臓内科
キーワード:
nephrotic syndrome
,
blood pressure
,
edema
Keyword:
nephrotic syndrome
,
blood pressure
,
edema
pp.753-755
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000149
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Ⅰ ネフローゼ症候群における浮腫
ネフローゼ症候群における浮腫の成因には大きく2つの仮説が存在する。1つはunderfilling仮説といい,尿中へのアルブミン喪失により低アルブミン血症となり,血漿膠質浸透圧が低下するとStarlingの法則に従い水分が血管内から間質へ移動することにより有効循環血漿量が低下する。その結果,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)や交感神経系の活性化が惹起され,二次的にNa再吸収を促進し,さらに浮腫を増悪するとされる。2つめはoverfilling仮説であり,遠位尿細管や集合管におけるNa排泄低下・再吸収の亢進が一次的に生じて,Na貯留により血管内容量が増加した結果,静水圧が高まり浮腫を生じるというものである1)。実臨床では,ネフローゼ症候群に急性腎障害(AKI)を伴う症例も多く経験されることから腎への有効循環血漿量の減少が前面に出る症例,すなわちunderfilling仮説の機序での浮腫形成症例もある一方で,寛解導入療法により蛋白尿が減少しだすと低アルブミン血症が是正される前から急激な尿量増加を認める症例,すなわちoverfilling仮説の機序での浮腫形成を示唆する症例も多く経験するところである。さらに,この2つの仮説に加え,ネフローゼ症候群では多くの症例で高用量のステロイド治療を行うことが多く,それがさらに浮腫形成を修飾,増悪させる因子となりうる。
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