Japanese
English
特集 MGRS―血液内科との連携
【基礎】
免疫グロブリンの異常に伴う多様な腎障害
Kidney injury due to monoclonal immunoglobulin and its fragments
今井 裕一
1
,
吉野 雅文
1
,
河合 浩寿
1
IMAI Hirokazu
1
,
YOSHINO Masabumi
1
,
KAWAI Hirohisa
1
1多治見市民病院 腎臓・リウマチ膠原病内科
キーワード:
多発性骨髄腫
,
MGUS
,
MIDD
,
アミロイドーシス
,
治療法
Keyword:
多発性骨髄腫
,
MGUS
,
MIDD
,
アミロイドーシス
,
治療法
pp.405-409
発行日 2022年2月25日
Published Date 2022/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000077
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はじめに
免疫グロブリンの基本構造はIgGであり,2本の重鎖(heavy chain)と2本の軽鎖(light chain)がSS結合している。重鎖の遺伝子は14番染色体上にあり,variable heavy chain(VH),constant heavy chain 1(CH1),CH2,CH3で構成されている。一方,軽鎖κ鎖は2番染色体,λ鎖は22番染色体上に存在し,variable light chain(VL),constant light chain(CL)で構成されている。これらのCH1部分とCL部分がSS結合している(図1)。抗体産生のシグナルが伝わると,重鎖と軽鎖の転写・蛋白合成がそれぞれ独立して開始されるが,軽鎖のほうが産生量はやや多いとされている。重鎖に結合しなかった軽鎖は,血中に放出され遊離軽鎖(free light chain:FLC)として測定可能である。血中濃度はκ鎖3.3~19.3mg/L,λ鎖5.7~26.3mg/Lとされている。健康成人では糸球体を通過するFLCは100~600mg/日とされているが,その90%以上は近位尿細管で再吸収される。
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