マイ・オピニオン
祈る思いで
野呂 昌子
1
1仙台赤十字病院
pp.279
発行日 1974年3月1日
Published Date 1974/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916962
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私たちの病院がひとりの患者を全人間的にとらえた,いわゆる患者中心の看護に目覚め,カーデックス方式をとってから久しくなる.しかし,現実には確かに個々の患者の問題に直面し,看護婦同士情報を交換し問題点を話し合っているものの,果たしてどれ程看護婦各自が持ち得ている自己の看護概念を実践しているだろうかと,ふと考えてしまう.
一般内科に,どっとあふれた老人の,看護以前のベッド・サイド・ケアに追い回されて1日が終わる.患者の多くが,だれにも,分かってもらえない,語れないもがき,苦しみにさいなまれているのを知りつつも,たったひとりの病める人間と少しの親和感も持てずに過ぎた1日……これでいいのかと心が痛む.
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