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特集 膵癌の早期発見・早期診断を目指して
[各論]
慢性膵炎由来膵癌を見逃さないために
In order not to overlook pancreatic cancer in patients with chronic pancreatitis
越田 真介
1
Shinsuke Koshita
1
1仙台市医療センター仙台オープン病院消化管・肝胆膵内科
キーワード:
膵癌
,
慢性膵炎
,
危険因子
Keyword:
膵癌
,
慢性膵炎
,
危険因子
pp.756-759
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001446
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はじめに
日本膵臓学会の慢性膵炎臨床診断基準2019に記載があるように,慢性膵炎は「膵臓の病的線維化炎症症候群」である1)。同基準では診断項目を七つあげ(表1),①特徴的な画像所見(表2)または②組織所見の確診所見を有する場合は慢性膵炎確診,①または②の準確診所見と,③反復する症状,④膵酵素異常,⑤膵外分泌障害のうち2項目以上を認めた場合も慢性膵炎確診となる(①または②の準確診のみでは慢性膵炎準確診となる)。また,近年は「早期慢性膵炎」という慢性膵炎の前段階と想定されるカテゴリーを定義し2),診断基準2019においては,項目の③~⑦のうち3項目以上と特徴的な早期慢性膵炎の画像所見(表2)1)を満たしたものを早期慢性膵炎と定義している。慢性膵炎の成因については,7割弱を占めるアルコール性とその他の非アルコール性に分類され,その他の非アルコール性には特発性や遺伝性などが含まれる3)。慢性膵炎症例の多くを占める男性例(全体の約8割)の3/4がアルコール性で,一方少数派の女性の約半数は特発性であり,成因については性差が大きい3)。
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