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はじめに
膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasms:IPMN)の病理分類はlow-grade dysplasia(LGD),high-grade dysplasia(HGD),invasive intraductal papillary mucinous carcinoma(invasive IPMC)に分類され,このうち後者二つが切除対象となる。IPMNに関連して発生する膵癌には,IPMN由来浸潤癌(以下,由来癌)とIPMN併存膵癌(以下,併存癌)が存在する。日本膵臓学会による基準では,由来癌は「IPMNが画像所見,肉眼所見,組織学的所見において明らかで,浸潤性膵管癌との間に組織学的移行像があるもの」と定義され,その場合,IPMNは高異型度であることが前提となる。これに対し併存癌は「IPMNと浸潤性膵管癌との間が組織学的に離れているもの」とされるが,IPMNと離れて膵癌が発生する症例と隣接して発生する症例がある。治療は悪性化症例や悪性化が予想される症例に対して外科的切除が推奨される。それ以外の症例では適切なサーベイランスが必要となる。手術が必要となる症例の画像所見や適切なサーベイランス方法については,IPMN国際診療ガイドライン(IAP 2017:福岡ガイドライン)1)でも一部提示されているが,より詳細な議論が必要な状況である。同ガイドラインは2023年12月に改訂版(京都ガイドライン2))が発行されている。本稿では改訂された内容にも触れつつ,併存癌や由来癌の早期発見のための画像所見や,見落とさないための適切なフォローアップ方法について,EUSを中心に概説する。
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