Japanese
English
特集 経過を追えた小膵癌―この所見に気をつけろ!
症例呈示
慢性膵炎の経過観察中に膵癌の発生をみた1例
A case of pancreatic carcinoma associated with chronic pancreatitis
矢根 圭
1
,
真口 宏介
1
,
高橋 邦幸
1
,
潟沼 朗生
1
,
小山内 学
1
,
階子 俊平
1
,
金子 真紀
1
,
原田 亮
1
,
加藤 隆佑
1
,
加藤 新
1
,
安保 義恭
2
,
中村 透
2
,
篠原 敏也
3
Kei YANE
1
,
Hiroyuki MAGUCHI
1
,
Kuniyuki TAKAHASHI
1
,
Akio KATANUMA
1
,
Manabu OSANAI
1
,
Syunpei HASHIGO
1
,
Maki KANEKO
1
,
Ryo HARADA
1
,
Ryusuke KATO
1
,
Shin KATO
1
,
Yoshiyasu ANBO
2
,
Toru NAKAMURA
2
,
Toshiya SHINOHARA
3
1手稲渓仁会病院 消化器病センター
2手稲渓仁会病院 外科
3手稲渓仁会病院 病理診断科
1Center for Gastroenterology,Teine Keijinkai Hospital
2Department of Surgery,Teine Keijinkai Hospital
3Department of Pathology,Teine Keijinkai Hospital
キーワード:
慢性膵炎
,
膵癌
,
経過観察
Keyword:
慢性膵炎
,
膵癌
,
経過観察
pp.241-249
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1428100390
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要旨
患者は72歳,男性.膵頭部腫瘤疑いで紹介となり,精査の結果慢性膵炎と診断した.定期的にCTにて経過観察を行っていたが,27か月後に膵体部に膵実質相で低吸収,平衡相で遅延濃染を伴う腫瘤像が出現した.MRI拡散強調画像(DWI)では病変は高信号を呈した.EUSでは17mm大の低エコー腫瘤像であり,EUS-FNAにて病理学的に腺癌と診断し,膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的には管状腺癌,pT3,pN0,StageⅢであった.画像所見の見直しにより,10か月前のCTで膵体部に膵実質相にて小さな低吸収域が認められ,同部位は12か月前のDWIではわずかに高信号を示し,小膵癌の所見がとらえられていた可能性があると思われた.膵癌の合併を念頭に置いた慢性膵炎の経過観察に際しては,低侵襲性画像診断法の組み合わせにより微細な変化をとらえ,その後の精査に誘導することが最も重要であると考える.
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