Japanese
English
特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
自己免疫疾患・膠原病・血管炎など
結節性多発動脈炎に伴う腸病変
Small intestinal lesions in polyarteritis nodosa (PN)
植田 剛
1
,
中本 貴透
1
,
佐井 壯謙
1
,
佐井 聡子
1
Takeshi Ueda
1
,
Takayuki Nakamoto
1
,
Souken Sai
1
,
Satoko Sai
1
1佐井胃腸科肛門科
キーワード:
結節性多発動脈炎
,
血管炎症候群
,
回腸多発潰瘍
Keyword:
結節性多発動脈炎
,
血管炎症候群
,
回腸多発潰瘍
pp.610-611
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001385
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
疾患の概要
結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PAN)は,Chapell Hill Consensus Conference 2012において「中・小動脈の壊死性血管炎で,糸球体腎炎あるいは細小動脈・毛細血管・細小静脈の血管炎を伴わず,抗好中球細胞質抗体 (ANCA)と関連のない疾患」と定義されている。以前は同一疾患とされていたanti-neutrophil cytoplasmic antibody(ANCA)関連小型血管炎に分類される顕微鏡的多発動脈炎(microscopic polyangiitis:MPA)とは血管障害部位も異なっている。男女比は 1:1~2,発症平均年齢は55歳とされ,腎臓,肺,神経系などが炎症の好発部位であるが,消化管も炎症部位の一つであり,おもに腸間膜動脈炎に伴う腸管虚血をきたすことにより潰瘍,狭窄,出血,穿孔,また微小動脈瘤からの出血などのさまざまな病変を起こしうる1)。消化管病変の発生部位は食道3%,胃16%,十二指腸16%,小腸59%,大腸37%と小腸病変の頻度が最も高い2)。本邦では約70%に認められるとされており,PANの予後不良因子の一つにあげられている。ステロイドと免疫抑制薬の併用で5年生存率は75~80%と良好な成績が報告されているが,未治療症例の予後は依然として悪く,その二大死因として心血管障害と消化管穿孔があげられている。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.