Japanese
English
特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
自己免疫疾患・膠原病・血管炎など
SLEに伴う小腸病変
Small intestinal lesions in systemic lupus erythematosus (SLE)
平田 一郎
1
,
中野 尚子
2
,
中川 義仁
3
Ichiro Hirata
1
,
Naoko Nakano
2
,
Yoshihito Nakagawa
3
1大阪中央病院消化器内科
2藤田医科大学消化器内科
3操健康クリニック
キーワード:
SLE
,
ループス腸炎
,
虚血性腸炎型
Keyword:
SLE
,
ループス腸炎
,
虚血性腸炎型
pp.608-609
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001384
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疾患の概要
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)は自己免疫疾患であり,遺伝的素因(HLA遺伝子多型,疾患関連遺伝子バリアント)に環境要因(感染,女性ホルモン,紫外線,薬物など)が加わりB細胞が異常活性化され自己抗体(特に抗DNA抗体)を過剰産生する。これら抗体が抗原と結合して免疫複合体を形成し全身組織の血管壁に沈着して炎症や臓器障害をもたらす。本症の男女比は約1:9で,20~40歳台の女性に好発する。白人よりも黒人やアジア人など有色人種に多い1)。SLEでは諸臓器における多彩な所見を認めるため診断基準の確立が困難とされ,いくつかの臨床項目・免疫学的項目からなるSLE分類基準2)などを用いてSLEと判定される。また,分類基準項目以外に腹痛(急性腹症),嘔吐,下痢,消化管出血,腹膜炎,腹水なども認められる。これら症状の多くは治療薬剤(NSAID,ステロイド,免疫抑制薬)によるが,SLEの血管炎(循環障害)による蛋白漏出性腸症やループス腸炎によるものもある。
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