Japanese
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特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
自己免疫疾患・膠原病・血管炎など
回腸囊炎
Pouchitis
小林 清典
1
Kiyonori Kobayashi
1
1北里大学医学部新世紀医療開発センター
キーワード:
回腸囊炎
,
潰瘍性大腸炎
,
内視鏡診断
Keyword:
回腸囊炎
,
潰瘍性大腸炎
,
内視鏡診断
pp.588-589
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001374
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疾患の概要
回腸囊炎は,大腸(亜)全摘術を受けた患者の回腸囊粘膜に発生する非特異性炎症であり,多くは潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)の術後患者に発生する。抗菌薬が有効な場合が多いため,発症には腸内細菌が関与すると考えられている。なお家族性大腸腺腫症の術後患者では発症頻度が低いことから,UCに伴う腸管免疫の異常も発症に関与していると考えられる。UC術後の回腸囊炎の累積発症率は,本邦例の集計では術後1年で10.7%,5年で24.0%,10年で38.2%と報告1)されている。回腸囊炎に伴う臨床症状は,排便回数の増加や水様性下痢,血便,腹痛,漏便などである。なお排便回数の増加や下痢は,回腸囊炎を合併していなくてもUC術後にみられるため,診断には内視鏡検査が必要になる。回腸囊炎の診断基準として,厚生労働省の調査研究班からは臨床症状と内視鏡所見からなる診断基準が提唱されている2)。
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