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特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
自己免疫疾患・膠原病・血管炎など
潰瘍性大腸炎に伴う小腸病変
Backwash ileitis
小林 清典
1
Kiyonori Kobayashi
1
1北里大学医学部新世紀医療開発センター
キーワード:
backwash ileitis
,
潰瘍性大腸炎
,
内視鏡診断
Keyword:
backwash ileitis
,
潰瘍性大腸炎
,
内視鏡診断
pp.586-587
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001373
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疾患の概要
全大腸炎型の潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)において,右側結腸の炎症が回盲弁を超えて回腸側にも連続して広がる場合,backwash ileitis(BI)として認識される。BIの成因として,①回盲弁が完全に閉鎖しないことで,大腸の剝離した粘膜や毒素,内容物が逆流して回腸側に炎症が惹起されるとの説と,②大腸の炎症と同じ機序で回腸側に炎症が起きるとの説があるが,前者のほうが妥当とされている。UCにおけるBIの合併頻度は,五十嵐ら1)の外科切除標本を用いた検討では29%(13/45例)で,回盲弁からの病変範囲は平均9.8(1~29)cmであったと報告されている。自施設では高田ら2)が,UC 910例のうち内視鏡所見で明らかなBIと診断されたのは7例(0.8%)のみであったと報告している。なおBI合併7例のうち5例はステロイド大量静注療法が必要で,3例は内科治療に抵抗性で外科手術が必要であった。BIを合併したUCは重症例が多く,より強力な治療を必要とする可能性がある。この他,BI合併例では大腸全摘術後に小腸炎を合併しやすいとの報告1)や,BIは大腸癌合併の危険因子とする報告3)があるが一定した見解は得られていない。
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