Japanese
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特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
感染症:細菌性
ピロリ菌による十二指腸炎・潰瘍
Duodenitis/duodenal ulcer due to Helicobacter pylori infection
恩田 毅
1
,
貝瀬 満
1
,
岩切 勝彦
1
Takeshi Onda
1
,
Mitsuru Kaise
1
,
Katsuhiko Iwakiri
1
1日本医科大学消化器内科学
キーワード:
ピロリ菌
,
十二指腸炎
,
潰瘍
Keyword:
ピロリ菌
,
十二指腸炎
,
潰瘍
pp.554-555
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001357
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疾患の概要
十二指腸には生理的にある程度のリンパ球・形質細胞浸潤が認められるため,好中球浸潤の有無をもって十二指腸炎の診断基準とする考え方が一般的である1)。十二指腸炎とは粘膜内にとどまる炎症であり,十二指腸潰瘍とは,粘膜筋板を越える組織欠損だが,欠損深度の内視鏡判定は困難であり,直径3~5mm以上の大きさの粘膜欠損を「潰瘍」とすることが多い2)。十二指腸潰瘍のおもな原因はHelicobacter pylori(H. pylori)感染や非ステロイド性抗炎症薬などによる薬剤性であり,H. pylori感染は全体の8割を占めると報告されている3)。しかし近年ではH. pylori感染率低下や酸分泌抑制薬の普及により,その割合は減少傾向にある。炎症性腸疾患,Zollinger-Ellison症候群,サイトメガロウイルス(CMV),梅毒などの感染症,好酸球性胃腸症などや,原因が明らかでない特発性潰瘍が増加傾向にあるとされている3)。
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