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特集 表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)の内視鏡診断と治療
[治療]
偶発症の予防と対策 【Topics】偶発症マネージメントとしてのENBPD
ENBPD for the management of complications
福原 誠一郎
1
,
加藤 元彦
2
,
矢作 直久
2
Seiichiro Fukuhara
1
,
Motohiko Kato
2
,
Naohisa Yahagi
2
1独立行政法人国立病院機構東京医療センター消化器内科
2慶應義塾大学医学部腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門
キーワード:
表在性十二指腸腫瘍
,
ENBD
,
ENPD
Keyword:
表在性十二指腸腫瘍
,
ENBD
,
ENPD
pp.837-839
発行日 2023年6月25日
Published Date 2023/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000782
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ESD後の偶発症と一般的な術後マネージメント
十二指腸腫瘍の診断頻度は,昨今の内視鏡診断技術の進歩や,検診をはじめとした上部消化管内視鏡検査の受診契機の増加などに従い,実臨床でも増えてきている。なかでも,腺腫や表在性十二指腸癌に対しては内視鏡的切除,特にESDが普及している。しかしながら,他の消化管に比較し,十二指腸はスコープの操作性が不良であることや筋層の薄さなどの解剖学的な要因から,切除に際しては高度な技術を要し,穿孔や出血といった偶発症も少なくはない。加えて,処置後しばらく時間が経過してから,遅発性の偶発症を起こすことも特徴の一つであり,厳格な周術期管理も要する。特に十二指腸の下行部で,Vater乳頭周囲やその遠位に位置する病変においては,切除後の潰瘍底が膵液や胆汁に直接曝露を受けることにより,切除後の組織や粘膜再生に影響を及ぼす可能性が要因の一つとして推測されている。実際,われわれは2010年から2017年に表在性十二指腸腫瘍を対象に内視鏡治療を行った320例を対象に検討し,穿孔は8.8%,出血は3.2%に生じ,十二指腸内側壁の病変で起こりやすいことを明らかにした1)。表在性十二指腸腫瘍に対する内視鏡治療後に発生した偶発症では,内視鏡的な追加治療が第一選択となるも,病態によっては外科的治療が必要になる可能性があり,その侵襲性も決して低いとはいえない。
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