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特集 大腸T1癌の診断と治療―内視鏡医・外科医・病理医のクロストーク―
[各論 治療―技術的アプローチ:T1癌の内視鏡治療戦略]
T1癌の外科治療戦略(直腸 vs. 結腸)
Surgical strategies for T1 colorectal cancer (colon vs. rectum)
須並 英二
1
,
吉敷 智和
1
,
本多 五奉
1
,
若松 喬
1
,
阿部 展次
1
Eiji Sunami
1
,
Tomokazu Kishiki
1
,
Kazuna Honda
1
,
Takashi Wakamatsu
1
,
Noritsugu Abe
1
1杏林大学消化器一般外科
キーワード:
T1大腸癌
,
外科治療
,
合併症
Keyword:
T1大腸癌
,
外科治療
,
合併症
pp.81-86
発行日 2023年1月25日
Published Date 2023/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000594
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はじめに
pT1大腸癌は浸潤癌であるため,治療はリンパ節郭清を伴う腸管切除術が原則となる。しかし全pT1大腸癌におけるリンパ節転移のリスクは5.8%との報告もある。残りの94.2%の症例ではリンパ節転移はなく,そういった症例に対してはリンパ節郭清を伴う腸管切除手術は過剰な外科治療と考えられる。残念ながらpT1N0を確実に術前に診断する手法は存在しないが,内視鏡的に切除された標本の病理組織学的検索結果により,リンパ節転移リスクの高低を判断する材料とすることが可能とされている。現在pT1大腸癌におけるリンパ節転移リスクとしては,①T1b(SM浸潤度1,000μm以上),②脈管侵襲陽性,③低分化腺癌,印鑑細胞癌,粘液癌,④浸潤先進部の簇出(budding)BD2/3,があげられている(図1)1)。これらの因子が一つでも認められた際にはリンパ節転移のリスクはゼロとはいえず,内視鏡的治療のみでは不十分である可能性があるため追加の外科治療が考慮されることになる1)。
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