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特集 大腸T1癌の診断と治療―内視鏡医・外科医・病理医のクロストーク―
[各論 治療―技術的アプローチ:T1癌の内視鏡治療戦略]
部位別・肉眼型別におけるESD治療―Gateway methodも含め―
Strategy of endoscopic submucosal dissection (ESD) by site/macroscopic type: including “Gateway Method”
大野 亜希子
1
,
楠原 光謹
1
,
羽田 裕
1
,
宮本 尚彦
1
,
久松 理一
1
Akiko Ohno
1
,
Mitsunori Kusuhara
1
,
Yu Hada
1
,
Naohiko Miyamoto
1
,
Tadakazu Hisamatsu
1
1杏林大学医学部消化器内科
キーワード:
大腸ESD
,
T1癌
,
Gateway method
Keyword:
大腸ESD
,
T1癌
,
Gateway method
pp.67-74
発行日 2023年1月25日
Published Date 2023/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000592
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はじめに
本邦では,2018年4月より大腸ESDの適応が「最大径が2cm以上の早期癌または最大径が5mmから1cmまでの神経内分泌腫瘍に対して,病変を含む範囲を一括で切除した場合に算定する。ただし,線維化を伴う早期癌については最大径が2cm未満のものに対して実施した場合でも算定できる」とされ,腫瘍径の上限がない一方で,適応は癌に限定されている1)。一方で癌を対象としている大腸ESDの術前検査で,内視鏡的に評価できるのは深達度診断のみである。このため深達度診断は非常に重要であるが,その正診率は当然100%ではない。白色光または色素観察において深い陥凹,緊満感,粘膜下腫瘍様の辺縁所見,伸展不良所見のいずれかが認められれば粘膜下層(SM)高度浸潤が示唆されるが,その正診率は70~80%とされる1)。津田ら2)は,これらの観察項目を十分に評価可能な病変は89%であり,評価可能病変の99%は深達度を正診できたが,評価不可病変は36%しか正診できなかったとしている。また評価不可病変は径の大きな隆起型病変に多かったとされる。また色素拡大内視鏡観察によるpit pattern診断ではVn型pit patternを認めることで約90%の正診率が得られるが,隆起型病変と表面型病変では前者での正診率がやや劣る傾向にあるとされる3)。
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