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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅲ. 陥凹を呈する病変
2. 上皮性・腫瘍性陥凹病変
異所性胃腺上にできた胃癌
Adenocarcinoma lying over heterotopic gastric glands
中川 昌浩
1
,
筒井 恵美子
2
,
宮原 孝治
3
Masahiro NAKAGAWA
1
,
Emiko TSUTSUI
2
,
Koji MIYAHARA
3
1広島市立広島市民病院内視鏡内科
2野市中央病院内科
3広島市立広島市民病院内科
キーワード:
胃癌
,
異所性胃腺
,
SMT
Keyword:
胃癌
,
異所性胃腺
,
SMT
pp.232-233
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000432
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疾患の概要
異所性胃腺(heterotopic gastric glands)は,本来胃粘膜固有層内に存在すべき胃腺組織を粘膜下層に異所性に認める病態である。粘膜下層の異所性胃腺は粘膜筋板の間隙を介して粘膜と連続し,粘液貯留により囊胞状に拡張していることが多い。胃粘膜下異所性胃腺の頻度は切除胃例の4.0%と報告されており1),成因には先天的に腺組織が粘膜下層に迷入する先天性迷入説と,胃粘膜の持続する炎症により胃粘膜の傷害と再生を繰り返す過程で粘膜筋板に間隙や欠損孔が生じ,再生した胃腺管組織がそこを通り粘膜下層に入り込む後天性炎症説があり,後天性炎症説が有力とされる1)。局所的に存在する場合とびまん性に存在する場合があり,びまん性異所性胃腺の症例では胃癌を高率に合併し,しかも多発する傾向があり,異所性胃腺はparacancerous lesionと考えられている2)。一方で,異所性胃腺を母地として発生したと考えられる胃癌も報告されている3)。
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