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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅲ. 陥凹を呈する病変
2. 上皮性・腫瘍性陥凹病変
転移性胃癌(血行性転移,多発潰瘍病変)
Gastric metastasis of malignancy of other organs (depressed)
石田 剛士
1
,
小林 祥司
1
,
山口 達也
2
Takeshi ISHIDA
1
,
Shoji KOBAYASHI
1
,
Tatsuya YAMAGUCHI
2
1山梨大学医学部附属病院消化器内科
2山梨大学医学部附属病院光学医療診療部
キーワード:
転移性胃癌
Keyword:
転移性胃癌
pp.234-235
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000433
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疾患の概要
転移性胃癌は,胃腫瘍のなかで稀な病態であるが,固形癌で亡くなった剖検6,380例のうち5.4%に転移性胃癌を認めたとする報告がある1)。胃に血行性転移をきたす頻度としては,悪性黒色腫29.6%,原発不明癌12.5%,乳癌11.6%,食道癌11.5%,肺癌6.8%が上位を占める1)。複数病変に比べ単発病変のほうが57〜65%と多く,胃体部大彎に多いことも報告されている1,2)。癌細胞が血管やリンパ管の発達した粘膜下層,筋層に定着し,粘膜固有層に向かって浸潤増殖するため,粘膜下腫瘍様,進行胃癌様の形態を呈することが多い。形態は過去の報告から,①粘膜下腫瘍様,②原発胃癌様,③その他に分けられる1,2)。①がもっとも多く50〜52%であり,また中心陥凹を伴うことが多い。次に②が33〜39%で,早期胃癌類似の形態を呈するものもあるが,進行癌の形態を呈することが多い。また,乳癌のうち乳腺小葉癌の胃病変は4型進行癌様の形態を呈するものが多いと報告されている3)。③が9〜17%であり,ポリープ様,たこいぼびらん,黒色斑,消化性潰瘍類似などを呈するものがある。
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