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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
1. 上皮性・非腫瘍性隆起病変
A. 亜有茎性・有茎性隆起
異所性胃腺
Heterotopic gastric gland, Heterotopic gastric mucosa
小田 丈二
1
,
入口 陽介
2
,
水谷 勝
2
Johji ODA
1
,
Yousuke IRIGUCHI
2
,
Masaru MIZUTANI
2
1東京都立がん検診センター消化器内科
2東京都立荏原病院消化器内科
キーワード:
異所性胃腺
,
有茎性
,
胃hamartomatous inverted polyp
Keyword:
異所性胃腺
,
有茎性
,
胃hamartomatous inverted polyp
pp.54-55
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000349
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疾患の概要
異所性胃腺は,本来粘膜固有層にあるべき胃腺組織が異所性に存在する状態で,基本的には良性病変であるが,稀に悪性化するとされており,岩永ら1)は胃粘膜下異所腺を10カ所以上認める場合をびまん性粘膜下異所腺と定義し,癌発生との関連性や多発癌が発生しやすい傾向があるとしている。40〜60歳台の男性に多く,胃体部に多い傾向がある。発生には先天説,後天説ともにあるが,Helicobacter pylori(H.pylori)感染などに伴う慢性炎症やびらん,再生を繰り返すことにより生じた粘膜筋板の破壊や断裂部位を通って再生した腺が粘膜下層に波及し,異所腺が生じるとする後天説が有力である。また,単発性異所性胃腺であるのかびまん性であるのかで成因が異なる可能性も示唆されている。単発性は,H.pylori未感染胃に代表される胃体上部や穹窿部に好発し,山田分類Ⅲ・Ⅳ型の単発性隆起を形成し,hamartomatous inverted polyp(HIP)や胃過誤腫性ポリープなどと呼ばれる。女性に多く,先天説が唱えられており,粘膜下に迷入した腺窩上皮や固有腺の増生に伴い,大きさと重みで胃内腔に引き伸ばされ,有茎性の形態を呈すると考えられている。一方,びまん性は山田分類I・Ⅱ型の丈の低い粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT)様隆起が多発し,多発性異所性胃囊胞症などと呼ばれ,上述したように胃癌との関連性が指摘されている。
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