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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅲ. 陥凹を呈する病変
1. 上皮性・非腫瘍性陥凹病変
薬剤性胃潰瘍
Drug-induced peptic ulcer
坂田 資尚
1
Yasuhisa SAKATA
1
1佐賀大学医学部附属病院消化器内科
キーワード:
NSAIDs
,
低用量アスピリン
,
プロトンポンプ阻害薬
Keyword:
NSAIDs
,
低用量アスピリン
,
プロトンポンプ阻害薬
pp.186-187
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000409
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疾患の概要
薬剤性胃潰瘍は,低用量アスピリン(LDA)を含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によるものの頻度がもっとも高い。「消化性潰瘍診療ガイドライン」1)では,NSAIDs以外に潰瘍発生リスクを高める薬剤として,ビスホスホネート製剤のアレンドロン酸,抗悪性腫瘍薬,選択的セロトニン再取込み阻害薬などがあげられている。NSAIDs はシクロオキシゲナーゼ(COX)-1を阻害し内因性プロスタグランジンを減少させる。その結果,重炭酸分泌の減少,粘液産生の減少,微小循環障害などをもたらし,胃粘膜防御能を低下させる。また,NSAIDsは胃内酸性条件下で脂溶性の非イオン状態となり,薬剤の細胞内透過性が亢進し,細胞内に蓄積され粘膜を直接傷害する。さらに,粘膜傷害の治癒に必要なCOX-2を阻害することで治癒が遷延する。NSAIDsを3カ月以上服用した場合の胃潰瘍発生頻度は10〜15%とされる。ビスホスホネートは,粘膜表面のリン脂質のホスファチジルコリンと置換されることで胃酸に対する粘膜防御機能が破壊され胃潰瘍が発生すると考えられている。
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