Japanese
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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
3. 非上皮性隆起病変
B. 非腫瘍性非上皮性病変
胃vanishing tumor
Vanishing tumor of the stomach
久保 公利
1
,
木村 伯子
2
,
加藤 元嗣
1
Kimitoshi KUBO
1
,
Noriko KIMURA
2
,
Mototsugu KATO
1
1国立病院機構函館病院消化器科
2国立病院機構函館病院病理診断科
キーワード:
胃vanishing tumor
,
胃粘膜下腫瘍
,
アニサキス
Keyword:
胃vanishing tumor
,
胃粘膜下腫瘍
,
アニサキス
pp.142-143
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000393
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疾患の概要
胃vanishing tumorは1976年に噴門穹窿部の巨大腫瘤が経過中に消失した症例報告により提唱された概念であり1),粘膜下層への炎症細胞浸潤による一過性の隆起性病変である。本邦における1985〜2007年までの報告28例のまとめで,原因はアニサキス19例(67.9%),旋尾線虫1例(3.6%),急性胃炎1例(3.6%),不明7例(25.0%)で,部位は噴門部・穹窿部14例(50.0%),胃体部8例(28.6%),胃角部3例(10.7%),幽門前庭部3例(10.7%)と報告されている2)。胃アニサキス症は発症様式から劇症型と緩和型に分類され,劇症型の一部はアニサキスの刺入により粘膜下層が炎症を起こし,vanishing tumorを呈するが,その頻度は胃アニサキス症の2〜4%と稀である。病理学的には,粘膜下層に大量の好酸球を中心とした細胞浸潤と著明な浮腫を伴い,病巣部虫体付近にはフィブリン様物質の析出,血管炎の所見,異物巨細胞や形質細胞浸潤がみられ,一過性の腫瘍様形態をとる3)。
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