特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
II.呼吸器系
9.Vanishing Lung
Vanishing Lung
村尾 誠
1
1北大第1内科
pp.1004-1006
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204181
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"Vanishing Lung"という表現
肺のX線写真をみていると,肺紋理が見られない部分に気づくことがある.ある症例では,このような肺組織の消失とみられる所見が年月を経てしだいに拡大し,1肺葉さらに全肺野に及ぶことがある.このような所見を,はじめて"vanishinglung"とよんだのはBurke(1937)1)であるといわれる2).X線像での「消えゆく肺」に対応する病理学的変化を考えてみると,まず肺嚢胞症とくに嚢胞性肺気腫bullous emphysemaが念頭に浮かぶ.また気管支性嚢胞,気胸,肺動脈閉塞症の特殊な例も同様な所見を示しうるであろう.近似的な表現として,giant bullae,pneumatocele,cotton-candy-lung,progressive Lungendystrophie3)などの名のもとに発表されている症例の数も少なくない.したがって,X線像としてvanishinglungをとりあげる場合には,いくつかの異なった病変を包括する可能性があるので,むしろvanishing lung syndromeとして取り扱うべきものであろう.
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