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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
3. 非上皮性隆起病変
A. 腫瘍性非上皮性病変
胃神経内分泌細胞腫瘍WHO分類3型
Neuroendocrine neoplasm(NEN) of the stomach (WHO Type 3)
川崎 啓祐
1
,
川床 慎一郎
1,2
,
鳥巣 剛弘
1
Keisuke KAWASAKI
1
,
Shinichiro KAWATOKO
1,2
,
Takehiro TORISU
1
1九州大学大学院病態機能内科学
2九州大学大学院病形態機能病理学
キーワード:
神経内分泌腫瘍
,
カルチノイド
,
3型
Keyword:
神経内分泌腫瘍
,
カルチノイド
,
3型
pp.118-119
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000381
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疾患の概要
胃神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)の大部分はヒスタミンを貯蔵し,酸分泌に関与しているECL細胞(enterochromaffin-like cell)から発生する。ヒスタミン分泌を惹起するガストリンと胃NET発生の関連によって,従来3つに分類されている1)。1型は胃底腺粘膜の萎縮を背景に無酸症・高ガストリン血症となるため,ECL細胞が過形成をきたし内分泌細胞微小胞巣(endocrine cell micronest:ECM)を形成し,腫瘍化する1)。多くは自己免疫性胃炎でみられるが,Helicobacter pylori(H.pylori)起因性の萎縮性胃炎でもみられる。2型は多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia:MEN)1型,Zollinger-Ellison症候群(ZES)を背景に高ガストリン血症をきたし発生するもので,MEN1遺伝子変異がより腫瘍化に関与しており,ZESに比べMEN1型で頻度が高い。3型は散発性に発生し,大部分はECL細胞由来であるが,その過形成は伴わずガストリンも関与しない。最近,ATP4AやATP4B遺伝子変異による胃壁細胞機能不全が原因で高ガストリン血症をきたしNETを発症する4型が筆者らも含め報告されている2)。プロトンポンプ阻害薬の長期投与によるNETの発生も提唱されている3)。
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