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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
1. 上皮性・非腫瘍性隆起病変
A. 亜有茎性・有茎性隆起
胃hamartomatous inverted polyp
Hamartomatous inverted polyp
小糸 雄大
1
,
松本 吏弘
1
,
眞嶋 浩聡
1
Yudai KOITO
1
,
Satohiro MATSUMOTO
1
,
Hirosato MASHIMA
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科
キーワード:
有茎性
,
単発性腫瘤性病変
,
粘膜下病変
Keyword:
有茎性
,
単発性腫瘤性病変
,
粘膜下病変
pp.52-53
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000348
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疾患の概要
Hamartoma(過誤腫)とは,構成成分が元来存在する臓器や組織に由来するが,特定の成分が過剰形成されることで組織成分の量的組み合わせの不均衡が生じ,腫瘍の形態をとるものと定義される。胃hamartomatous inverted polyp(HIP)は比較的稀な病変で,組織学的に粘膜下層を主座として異所性腺管が増生し,囊胞状に拡張した腺管や樹枝状の平滑筋増生を認める病変と定義されている。本邦では2020年までにHIP73症例が報告されており1),若年から高齢者まで幅広い年齢層にみられ,半数以上が自覚症状なく検診で偶発的に発見されている。好発部位は胃体上部や穹窿部といった胃の上部である。大きさは10~20mmのものが多い。肉眼形態は山田分類Ⅳ型や粘膜下腫瘍の形態が多い。これは,粘膜下で増生した病変が大きくなるにつれて半球状から亜有茎状となり,腫瘍の重みで胃内に牽引されるようになると,重みで有茎性の形態を呈すると考えられている。表面は正常粘膜に覆われているため,生検よりもEUSが診断に有用である。EUSで第2〜3層を主座とした多房性あるいは単房性の囊胞様構造として描出されることが特徴的な所見であり,これらは増生した囊胞状腺管を見ているものと思われる。組織学的特徴は,ポリープ内部に囊胞状に拡張した腺管を伴い,間質には樹枝状に錯走する粘膜筋板を認める。
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