発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013081440
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59歳女。約11年前に生検で胃穹隆部の過形成性ポリープと診断され、その後増大傾向を認めたため、Helicobacter pylori陽性に除菌療法を行うが形態に変化なく、徐々に増大したため入院となった。上部消化管内視鏡で穹隆部大彎に1年前よりサイズが増大した約5mmの頂部発赤を伴う隆起性病変を認め、基部は粘膜ひだと連続し発赤部以外の粘膜面は正常より粘膜下腫瘍(SMT)と考えられた。超音波内視鏡(EUS)での画像はやや不鮮明で第2・3層と連続する低エコー性腫瘤を認め、内部に嚢胞成分と思われる低エコーが多発していた。明らかな第4層の途絶を認めないことから、嚢胞性変化を伴う粘膜下層に限局するSMTと診断した。内視鏡的粘膜切除術(EMR)を施行した。腫瘍の病理所見は粘膜下層を中心に大小不同の拡張した腺管で構成され、粘膜下に幽門腺主体の嚢胞状の拡張腺管を認め異型細胞は認めなかった。デスミン染色では不規則に増生し粘膜下層に入り込んだ平滑筋腺を認め、胃HIPと診断した。断端部に拡張腺管は認めなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012