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特集 大腸鋸歯状病変のすべて
[各論 診断]
《Note》Traditional serrated adenoma(TSA)は均一な病変群ではない
Heterogeneity of TSA: clinicopathologically and molecularly different subtypes
千野 晶子
1
,
十倉 淳紀
1
,
高松 学
2
,
河内 洋
2
,
斎藤 彰一
1
Akiko CHINO
1
,
Junki TOKURA
1
,
Manabu TAKAMATSU
2
,
Hiroshi KAWACHI
2
,
Shoichi SAITO
1
1がん研究会有明病院下部消化管内科
2がん研究会有明病院臨床病理センター病理部
キーワード:
混合型鋸歯状病変
,
TSA亜型
,
BRAF/KRAS遺伝子変異
Keyword:
混合型鋸歯状病変
,
TSA亜型
,
BRAF/KRAS遺伝子変異
pp.956-959
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000206
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はじめに
鋸歯状腺腫(traditional serrated adenoma:TSA)は,『大腸癌取扱い規約』1)において管状腺腫や管状絨毛腺腫,絨毛腺腫と並び腺腫に分類される。病理組織学的には乳頭状増殖を示すポリープであり,管腔の鋸歯状構造が弱拡大でも観察できること,核の腫大や偽重層化,核分裂像が表層部にも出現し,杯細胞の減少や細胞質の好酸性化,また,sessile serrated lesion(SSL)やhyperplastic polyp(HP)などと区別する所見として異所性腺窩(ectopic crypt formation:ECF)が特徴とされる1)。分子学的特徴としては,SSLを主体とする病変群の発育過程にBRAF遺伝子変異が関与することが解明され,これに対しTSAでは一部の管状腺腫や絨毛腺腫のようにKRAS変異の関与が主体と考えられていた。しかし,TSAは形態学的に均一な病変群ではなく,TSAの多様性に着目した研究により分子学的にもBRAF/RAS変異が同程度に存在することが示された2, 3)。これにより,臨床的特徴を加味したTSAの亜型が注目されるようになった。
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