Japanese
English
今月の主題 鋸歯状腺腫(serrated adenoma)とその周辺
Consensus Review
大腸serrated adenomaの組織診断
Histological Review of Serrated Adenoma of the Colon
柳澤 昭夫
1
,
加藤 洋
1
Akio Yanagisawa
1
1(財)癌研究会癌研究所病理部
pp.891-903
発行日 1998年5月25日
Published Date 1998/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103730
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はじめに
大腸のserrated adenoma(鋸歯状腺腫)はhyperplastic polyp(過形成ポリープ)あるいはmetaplastic polyp(化生性ポリープ)に類似する鋸歯状形態を特徴とする腫瘍性病変であるとされている.しかし,典型例は別として,化生性ポリープや他の腺腫との鑑別はあまり明解でないところがあり,その組織診断基準は世界的にみても確立されているとは言い難い.このため,同一病変に対して異なった組織診断が下されることも生じている.
本企画の目的は,消化器専門の病理医が,個々の症例の指定の部位の組織像を具体的にどのように組織診断しているか明らかにすることにより,多くの病理医が共通してserrated adenomaとする組織診断基準を明確にすることにある.
用いた症例は内視鏡的切除例で,企画者の判断でserrated adenomaか,あるいはserrated adenomaとの鑑別が問題となるであろう病変を中心とした10症例である.これらの症例について,同一病変内で診断する箇所を指定し,指定箇所の組織診断と組織所見の読み方について複数の病理医に診断していただき,更に診断根拠を記載していただいた.病理医はわが国の5人とWHOの腸腫瘍シリーズの編者であるJR Jass,serrated adenomaの呼称の提唱者であるCM Fenoglio-Preiserである(Table 1).
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