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特集 内視鏡データリファレンスブック2022
【臓器別】
大腸
下部消化管出血の内視鏡診断と治療
Acute lower gastrointestinal bleeding
青木 智則
1
,
永田 尚義
2
,
藤城 光弘
1
Tomonori AOKI
1
,
Naoyoshi NAGATA
2
,
Mitsuhiro FUJISHIRO
1
1東京大学医学部附属病院消化器内科
2東京医科大学病院内視鏡センター
キーワード:
鑑別疾患
,
大腸内視鏡タイミング
,
内視鏡治療
Keyword:
鑑別疾患
,
大腸内視鏡タイミング
,
内視鏡治療
pp.741-746
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000165
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Ⅰ 頻度・疾患・臨床像
急性下部消化管出血は,おもに急性の血便症状で発症する。入院を要する急性血便の鑑別疾患は多岐にわたり(表1),最も高頻度なのは大腸憩室出血(30~65%)で,次いで虚血性腸炎(5~20%)があげられる1, 2)。大腸疾患では他に,感染性腸炎や炎症性腸疾患,直腸潰瘍,血管拡張症,放射線性腸炎,痔核・直腸静脈瘤,大腸癌,内視鏡治療後出血などがある1, 2)。さらに,上部消化管から急速に大量出血をきたした場合も血便症状を呈することがあるため注意を要する。急性血便患者を対象とした本邦の大規模観察研究では,1.5%が上部消化管からの出血であった1)。疾患によって好発年齢,腹部症状の有無,発症リスクが異なり,治療方法や完遂率およびその後の再発などの転帰も異なるため,疾患の同定が重要である。来院時の症状やバイタルサインだけでは疾患の鑑別が困難であり,確定診断のためには大腸内視鏡検査が必要である。
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