特集 十二指腸はこう診る
十二指腸への内視鏡挿入と観察の実際 十二指腸における各種生検の選択基準と生検の功罪
中山 敦史
1
,
矢作 直久
1慶應義塾大学医学部腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門
キーワード:
十二指腸腺
,
過形成
,
十二指腸鏡法
,
十二指腸疾患
,
十二指腸腫瘍
,
鑑別診断
,
生検
,
総胆管腫瘍
,
胆膵管膨大部
,
神経内分泌腫瘍
Keyword:
Common Bile Duct Neoplasms
,
Brunner Glands
,
Biopsy
,
Ampulla of Vater
,
Diagnosis, Differential
,
Duodenal Diseases
,
Duodenal Neoplasms
,
Hyperplasia
,
Neuroendocrine Tumors
,
Duodenoscopy
pp.981-989
発行日 2020年7月25日
Published Date 2020/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020388233
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近年十二指腸病変に遭遇する機会が増えてきているが、その頻度の低さや複雑さから内視鏡診断が難しく、しばしば生検が行われている。筆者らの検討では、表在型非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(SNADET)は拡大画像強調内視鏡にてdemarcation lineを有し、表面構造の変化やwhite opaque substance沈着の程度により診断が可能である。癌に関する内視鏡画像診断および生検組織診断の正診率はほぼ同等であり、生検により瘢痕をきたすことから内視鏡治療を予定している場合には生検は避けるべきである。ただし、外科手術や化学療法を行う場合には、癌細胞を証明するためにも事前に生検が必須である。神経内分泌腫瘍の一部や乳頭部腫瘍、非上皮性腫瘍のなかでも治療を要する可能性のある消化管間質腫瘍(GIST)や肉腫、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍に関しては、生検による確定診断が必要となる。また、十二指腸異所性胃粘膜は時にSNADETとの鑑別が必要となるが、生検は慎重に行うべきである。
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