特集 食道胃接合部の新展開
食道胃接合部の腫瘍 噴門部胃癌の発生過程
向所 賢一
1
1滋賀医科大学 病理学講座人体病理学部門
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃腫瘍
,
胃食道逆流
,
危険因子
,
食道胃接合部
,
胆汁酸と胆汁酸塩
,
噴門
,
免疫組織化学
,
腸上皮化生
,
発癌
Keyword:
Cardia
,
Bile Acids and Salts
,
Immunohistochemistry
,
Stomach Neoplasms
,
Esophagogastric Junction
,
Gastroesophageal Reflux
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Risk Factors
,
Carcinogenesis
pp.741-746
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020385458
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食道胃接合部癌はBarrett食道腺癌、非Barrett食道腺癌、噴門部胃癌に分類される。また、胃癌は解剖学的観点から、噴門部胃癌と非噴門部胃癌とに分けられる。噴門部胃癌のおもな原因としては、胃食道逆流症と、H.pylori感染に関連した萎縮性胃炎の2つがあげられる。欧米で食道腺癌とともに食道胃接合部癌が急激に増加してきたのは、胃内へ逆流した高濃度の胆汁酸と高酸の胃液よりニトロソ胆汁酸が産生され、このニトロソ胆汁酸に食道と食道胃接合部が曝露されることが原因と考えられる。米国では食道腺癌や胃癌の前癌病変として腸上皮化生が重要視されているが、筆者らの検討では、早期の食道腺癌や非噴門部胃癌のなかには胃型形質を有する腫瘍が少なからず存在する。噴門部胃癌にも噴門腺粘膜と同様の構造をもつ胃型形質の腺癌が存在することから、必ずしも腸上皮化生が前癌病変であるとはいえない。
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