特集 食道胃接合部の新展開
食道胃接合部の腫瘍 SSBEとLSBE由来の腺癌 どこが違う?治療も違う?
高橋 亜紀子
1
,
小山 恒男
1長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院佐久医療センター 内視鏡内科
キーワード:
Barrett食道
,
食道胃接合部
,
食道鏡法
,
食道腫瘍
,
腺癌
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
Keyword:
Barrett Esophagus
,
Endoscopic Mucosal Resection
,
Esophagogastric Junction
,
Esophagoscopy
,
Adenocarcinoma
,
Esophageal Neoplasms
pp.735-740
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020385457
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SSBEに由来する腺癌の好発部位は0~3時方向で、発赤調、隆起性病変が大部分である。これらはSCJと接していることが多いため、扁平上皮下進展を考慮する必要があり、粘膜の色調変化、異常血管、小孔などの所見に着目する。ESD時には、扁平上皮下進展の口側境界から最低safety marginを1cm確保する。一方、LSBE内の腺癌はどの方向にも発生し、多発していることが多い。LSBEではIIb進展も多く、側方進展範囲診断が難しいため、拡大内視鏡にて観察する。拡大内視鏡を駆使しても範囲診断が困難な場合は、胃の低分化腺癌同様、拡大内視鏡で想定した境界の外側より生検し陰性を確認してから内視鏡治療に臨む必要がある。LSBEの全周切除の場合、粘膜下層剥離には2つの方法があり、1つ目は口側から肛門側へ粘膜下層をトンネル状に剥離する方法で、2つ目は口側に複数個の糸付きクリップをつけ牽引しながら剥離を完遂する方法である。残Barrett粘膜の扱いについては本邦のガイドラインに、「わが国ではバレット食道癌を正確に診断して内視鏡治療を行う方針が広く浸透しており、治療後に残存したバレット食道については慎重な経過観察が行われている」と記載されている。しかし、残Barrett粘膜4例をサーベイランスした筆者らの検討では2例に異時多発癌を認め、うち1例は外科切除を要した。このため当院では現在、残Barrett粘膜に対するstepwise ESDを施行している。つまりはじめに癌部に対しESDを施行し、ESD潰瘍の治癒後に残Barrett粘膜に対しESDを施行する方法である。
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