特集 食道胃接合部の新展開
食道胃接合部の腫瘍 噴門部胃癌の初期像に迫る 自験例の検討から
吉村 大輔
1
,
落合 利彰
,
加藤 誠也
,
茶圓 智人
,
瀧澤 延嘉
,
中野 佳余子
,
北川 祐介
,
市田 かおる
,
梅谷 聡太
1済生会福岡総合病院 消化器内科
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃鏡法
,
胃腫瘍
,
食道胃接合部
,
腺癌
,
噴門
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
,
腫瘍の早期診断
,
狭帯域光観察
Keyword:
Cardia
,
Stomach Neoplasms
,
Endoscopic Mucosal Resection
,
Esophagogastric Junction
,
Gastroscopy
,
Adenocarcinoma
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Narrow Band Imaging
,
Early Detection of Cancer
pp.747-756
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020385459
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噴門部胃癌はH.pylori感染による萎縮性胃炎を背景とした病変と、酸逆流や胸やけ症状、肥満と関連した病変に大別される。前者には現在最も重要な除菌後発見胃癌が、後者にはH.pylori感染率の低下が進む本邦で注目されつつあるH.pylori未感染胃癌が含まれる。従来、噴門部胃癌はX線造影での早期診断が困難とされてきた。内視鏡検診の普及を照らし、本稿では胃噴門部に主座をおく早期胃癌(腺癌)を「腫瘍の中心が食道胃接合部からその肛門側2cmまでの領域にあるもの」に限定し、自施設ESD症例を通じてその初期像を考察する。H.pylori現感染ならびに既感染胃にみられる早期癌は隆起型が比較的多く、陥凹型においてはSM浸潤癌が半数を占め、早期発見には反転観察による正面視と接線方向からの観察の両者が必要と考えられる。未感染胃癌は全例が隆起型であったが、胃底腺型胃癌のような特異な形態を呈する病変もあり、その形態病理学的特徴を認識した観察が必要である。
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