特集 食道胃接合部の新展開
食道胃接合部疾患、本当に日本で増えている?
眞部 紀明
1
,
松枝 和宏
,
綾木 麻紀
,
藤田 穣
,
鎌田 智有
,
春間 賢
1川崎医科大学総合医療センター 検査診断学(内視鏡・超音波)
キーワード:
Barrett食道
,
胃腫瘍
,
胃食道逆流
,
危険因子
,
タバコ喫煙
,
食道胃接合部
,
食道炎-逆流性
,
食道腫瘍
,
発生率
,
肥満
Keyword:
Barrett Esophagus
,
Stomach Neoplasms
,
Obesity
,
Esophagitis, Peptic
,
Esophagogastric Junction
,
Gastroesophageal Reflux
,
Incidence
,
Tobacco Smoking
,
Esophageal Neoplasms
,
Risk Factors
pp.646-653
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020385446
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近年の本邦における環境因子の変化などに伴い、食道胃接合部疾患の疾患構造に変化が生じている。食道胃接合部疾患には逆流性食道炎から食道胃接合部癌まで幅広く存在する。これらの疾患は、本邦でもおおむね欧米と同様な疫学的動向をたどるものと考えられるが、本邦と欧米では生活習慣のみならず胃酸分泌能そのものが必ずしも同様とはいえず、その解釈には注意を要する。逆流性食道炎は以前と比較して増加しているが、今後は少しずつその増加率は低下し、非高齢者と高齢者ではその動向が異なることも推察される。またBarrett食道腺癌を含む食道胃接合部癌は、リスク因子となりうる環境因子の変化から将来的には徐々に増加すると考えられる。しかし欧米のような扁平上皮癌の増加率を上回る増え方ではなく、本邦では10%を超える可能性は低いと考えられる。今後も食道胃接合部領域の診療に的確に対応していくために、欧米の動向を参考にしながら本邦独自の疫学的動向を明らかにしていく姿勢が重要と考えられる。
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