特集 胃癌診断を極める
H.pylori未感染胃粘膜に生じる胃癌の内視鏡診断 H.pylori未感染胃粘膜に生じる食道胃接合部腺癌
吉村 大輔
1
,
北川 祐介
,
加藤 誠也
,
茶圓 智人
,
瀧澤 延嘉
,
中野 佳余子
,
市田 かおる
,
梅谷 聡太
,
落合 利彰
,
吉村 理江
1済生会福岡総合病院 消化器内科
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃鏡法
,
胃酸
,
胃腫瘍
,
胃粘膜
,
危険因子
,
食道胃接合部
,
腺癌
,
肥満
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
,
発癌
Keyword:
Stomach Neoplasms
,
Obesity
,
Endoscopic Mucosal Resection
,
Esophagogastric Junction
,
Gastric Acid
,
Gastric Mucosa
,
Gastroscopy
,
Adenocarcinoma
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Risk Factors
,
Carcinogenesis
pp.111-118
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020257084
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食道胃接合部腺癌、胃噴門部癌は、従来の萎縮性胃炎を背景とした病変と、酸逆流や胸やけ症状、肥満と関連したいわば欧米型の病変が存在する。後者はこれまで欧米を中心に増加が報告されており、本邦においてもH.pylori感染率の低下が進み、近年注目されているH.pylori未感染胃癌が含まれる。本稿では自験例の食道胃接合部腺癌と類縁疾患を検証した。自験例は男性が大多数で、浸潤癌、進行癌が大部分を占め早期発見が容易でないことが示唆された。早期癌の形態は隆起型が主であった。その観察には深吸気による食道胃接合部の十分な伸展と正面視が必須であり、時に鎮静下の観察よりも経鼻内視鏡による観察が有用であった。酸逆流による炎症の修飾や過形成性ポリープの除外のため、精査にあたっては事前の十分な制酸治療が望ましい。本邦における本疾患の特徴や酸逆流以外のリスク因子の検索のため、今後十分な症例の蓄積が必要である。
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