特集 食道胃接合部の新展開
食道胃接合部の腫瘍 Barrett食道腺癌の病理 発生母組織はSCEか?
渡辺 玄
1
,
三尾 圭司
,
西田 浩彰
,
川崎 隆
,
本間 慶一
,
味岡 洋一
1新潟県立がんセンター新潟病院 病理診断科
キーワード:
Barrett食道
,
食道胃接合部
,
食道腫瘍
,
腺癌
,
発癌
,
食道粘膜
Keyword:
Barrett Esophagus
,
Esophagogastric Junction
,
Esophageal Mucosa
,
Adenocarcinoma
,
Esophageal Neoplasms
,
Carcinogenesis
pp.718-724
発行日 2020年5月25日
Published Date 2020/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020385455
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Barrett食道内の腸型化生粘膜は発癌リスクを有すると認識されてきたが、非腸型化生粘膜(噴門腺型粘膜)も発癌リスクを有するか否かは議論の的になっている。表在癌40例の全割切片検索において、小型腫瘍(腫瘍径≦10mm)の大半(69%)は腸型化生粘膜が腫瘍に隣接せず、また腸型化生粘膜と腫瘍径に関連はなかった。一方で腸型化生粘膜はBarrett食道伸展の程度と有意に相関した。微小腫瘍(腫瘍径≦5mm)は胃型形質のものが多く(50%)、腫瘍径が5mmを超えるものは胃腸混合型形質が大部分(92%)を占めた。これらのデータは、腸型化生は前癌状態ではなくBarrett食道伸展の付帯現象(傍癌状態)であることを示唆している。分子レベルおよび後ろ向き追跡調査でも、腸型化生を伴わないBarrett食道(噴門腺型粘膜)の発癌リスクを示唆するデータが蓄積されつつあるが、発癌リスクの確立には適切にデザインされた前向き研究が必要である。
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