特集 酸分泌抑制薬の功罪
食道 PPIとBarrett食道腺癌
海野 修平
1
,
平澤 大
,
松田 知己
1仙台厚生病院 消化器内科
キーワード:
Barrett食道
,
胃食道逆流
,
Acetic Acid
,
腫瘍侵入性
,
食道鏡法
,
食道腫瘍
,
腺癌
,
リスク
,
Proton Pump Inhibitors
,
発癌
Keyword:
Acetic Acid
,
Barrett Esophagus
,
Esophagoscopy
,
Gastroesophageal Reflux
,
Risk
,
Adenocarcinoma
,
Esophageal Neoplasms
,
Neoplasm Invasiveness
,
Carcinogenesis
,
Proton Pump Inhibitors
pp.1141-1147
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020376633
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欧米において増加の一途をたどるBarrett食道腺癌は、今後本邦においても増加するといわれている。胃食道逆流症による慢性刺激がBarrett食道のおもな原因であるため、Barrett食道自体に発赤・びらんなどの炎症所見を伴うことが多い。Barrett食道腺癌にも当然炎症所見を伴っていることが多く、存在診断・範囲診断に苦慮することが経験される。本稿では酸逆流とプロトンポンプ阻害薬(PPI)による酸抑制がBarrett食道腺癌の診断に与える影響を中心に述べる。PPIで炎症を抑えると腫瘍が扁平上皮に覆われることがあり、扁平上皮下の腫瘍の存在にいっそう注意する必要がある。酢酸散布で粘膜が可逆的な白色化をきたすことを利用して、扁平上皮下の腺癌の存在が認識可能になる場合がある。酢酸散布で扁平上皮に被覆された腺組織に出現する小孔、小斑、溝状構造(small white sign)に関しても解説する。
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