特集 胃癌診断を極める
H.pylori未感染胃粘膜に生じる胃癌の内視鏡診断 H.pylori未感染胃粘膜に生じる印環細胞癌
小刀 崇弘
1
,
伊藤 公訓
,
田中 信治
,
茶山 一彰
1広島大学病院 内視鏡診療科
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃鏡法
,
胃腫瘍
,
胃粘膜
,
腫瘍侵入性
,
印環細胞癌
,
狭帯域光観察
Keyword:
Stomach Neoplasms
,
Gastric Mucosa
,
Gastroscopy
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Carcinoma, Signet Ring Cell
,
Neoplasm Invasiveness
,
Narrow Band Imaging
pp.83-87
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020257079
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胃癌のほとんどは、H.pylori感染胃炎を基盤として発生する。H.pylori未感染胃粘膜に生じる胃癌は全胃癌の1%前後と報告されているが、感染率の低下に伴い、H.pylori未感染の胃癌は今後相対的に増加することが予想される。H.pylori未感染胃癌の臨床的特徴は、現感染胃癌ほど男性優位の傾向がなく発症年齢がより若年であることである。病理組織学的には印環細胞癌が特徴的であり、その内視鏡的特徴は腺境界付近に認められる限局した平坦ないし陥凹した褪色粘膜である。ほとんどが粘膜内癌の状態で発見されることが多く生物学的悪性度は低いとされているが、ごく稀に粘膜下層以深への浸潤をきたした症例も経験することがある。H.pylori未感染の印環細胞癌の診断には、内視鏡的な典型像をよく理解したうえで検査に臨む必要がある。
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