特集 胃癌診断を極める
H.pylori現感染胃粘膜に生じる胃癌の内視鏡診断 H.pylori現感染胃粘膜に生じる未分化型癌
阿部 清一郎
1
,
小田 一郎
,
岡村 卓真
,
野中 哲
,
鈴木 晴久
,
吉永 繁高
,
関根 茂樹
,
斎藤 豊
1国立がん研究センター中央病院 内視鏡科
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃鏡法
,
胃腫瘍
,
胃粘膜
,
未分化癌
,
狭帯域光観察
Keyword:
Carcinoma
,
Stomach Neoplasms
,
Gastric Mucosa
,
Gastroscopy
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Narrow Band Imaging
pp.53-57
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020257074
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H.pylori現感染胃粘膜に生じる未分化型早期胃癌は、褪色調の浅い陥凹性病変あるいは平坦病変として認められ、胃底腺領域に好発する。特に鳥肌胃炎を有する若い女性は胃癌のハイリスク症例であり、注意を要する。未分化型早期胃癌の拡大内視鏡診断は、組織学的特徴ならびに発育進展形式を念頭におきながら行う必要がある。発生初期には腺頸部を側方進展し癌巣表面には非癌被覆上皮が残存するため、質的診断、側方範囲診断が難しい。ある程度癌の浸潤が中層に沿って進展するとNBI拡大内視鏡観察において窩間部の開大所見が認められ、癌が粘膜全層にわたって発育するとcorkscrew patternが出現する。側方範囲診断はNBI拡大内視鏡観察を用いても診断が困難な限界症例があるため、内視鏡治療あるいは外科手術前の精査では陰性生検も行うべきである。
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