特集 胃癌診断を極める
H.pylori未感染胃粘膜に生じる胃癌の内視鏡診断 H.pylori未感染胃粘膜に生じるラズベリー様腺窩上皮型胃癌
柴垣 広太郎
1
,
三代 剛
,
石村 典久
,
長瀬 真実子
,
荒木 亜寿香
,
石川 典由
,
丸山 理留敬
,
石原 俊治
1島根大学医学部附属病院 光学医療診療部
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃鏡法
,
胃疾患
,
胃腫瘍
,
胃粘膜
,
過形成
,
上皮
,
鑑別診断
,
生検
,
ポリープ
Keyword:
Biopsy
,
Epithelium
,
Diagnosis, Differential
,
Hyperplasia
,
Stomach Diseases
,
Stomach Neoplasms
,
Gastric Mucosa
,
Gastroscopy
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Polyps
pp.97-105
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020257082
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ラズベリー様腺窩上皮型胃癌はH.pylori未感染胃粘膜に発生する分化型腺癌の一つである。2016年2月~2019年7月に当院で切除したH.pylori未感染胃癌は41例で、ラズベリー様腺窩上皮型胃癌はその70.3%(29/41)を占めた。白色光では鮮紅色のラズベリー様の小隆起で、UM領域に発生し、17.2%(5/29)が同時多発例であった。NBI拡大内視鏡ではwhite zoneは比較的明瞭で、乳頭状・脳回様の腺構造を呈し、窩間部に拡張した異常血管を認めた。組織学的には1~6mmの上皮内腫瘍で、管状・乳頭状の腫瘍腺管が増生し、免疫染色ではMUC5ACが陽性、MUC6/MUC2/CD10は陰性で、腺窩上皮型胃型腺癌と診断された。Ki-67は腫瘍表層を除いてびまん性に過剰発現し、Ki-67 labeling indexは中央値62.6%(44~94.6%)と高値を呈した。p53の過剰染色やβ-cateninの有意な核内移行は認めなかった。本腫瘍は近年報告が急増しているが、過形成性ポリープとの肉眼像の類似性と生検診断の難しさから、これまで見落とされてきた可能性が高い。両者の鑑別には、色調とwhite zone thickeningの有無が有用である。
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