特集 胃癌診断を極める
H.pylori除菌後胃粘膜に生じる胃癌の内視鏡診断 H.pylori除菌後胃粘膜に生じる未分化型腺癌
兒玉 雅明
1
,
沖本 忠義
,
水上 一弘
,
小川 竜
,
岡本 和久
,
福田 健介
,
阿部 寿徳
,
安部 高志
,
永井 敬之
,
村上 和成
1大分大学 福祉健康科学部
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃鏡法
,
胃腫瘍
,
胃粘膜
,
危険因子
,
抗細菌剤
,
腺癌
,
多剤併用療法
,
腫瘍-第二原発
,
未分化癌
,
除菌療法
Keyword:
Carcinoma
,
Anti-Bacterial Agents
,
Drug Therapy, Combination
,
Stomach Neoplasms
,
Gastric Mucosa
,
Gastroscopy
,
Adenocarcinoma
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Neoplasms, Second Primary
,
Risk Factors
pp.75-82
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020257078
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H.pylori除菌は胃癌を抑制するが完全ではなく、除菌後胃癌の増加が指摘されている。除菌後胃癌の多くは分化型胃癌であるが、比率は少ないものの未分化型胃癌も生命予後に影響するといわれ懸念されている。除菌後の未分化型胃癌では、除菌後分化型胃癌にみられるような表層の低異型度上皮、胃炎様所見はみられず、背景粘膜以外はH.pylori陽性未分化型胃癌との大きな肉眼的差異に乏しい。除菌後分化型胃癌と比較した場合、未分化型では除菌時年齢が低い傾向があり、腫瘍径は大きく、深達度もSM以深への浸潤が多い、除菌後にフォローアップされていない症例が多い、などの特徴がある。また急速な進行を示す除菌後未分化型胃癌もみられる。早期胃癌治療後よりも非胃癌例の除菌後においてみられる割合が高く、H.pylori除菌後は未分化型胃癌発症も考慮した注意深いフォローアップ継続の必要性が示唆される。
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