特集 すべてがわかるIBDの内視鏡
IBDの生検組織診断
明本 由衣
1
,
田中 正則
1弘前大学 大学院医学研究科病理診断学講座
キーワード:
Crohn病
,
炎症性腸疾患
,
鑑別診断
,
生検
,
大腸炎-潰瘍性
Keyword:
Biopsy
,
Diagnosis, Differential
,
Inflammatory Bowel Diseases
,
Colitis, Ulcerative
,
Crohn Disease
pp.179-187
発行日 2020年2月25日
Published Date 2020/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020163363
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かつて慢性腸炎の代表疾患は潰瘍性大腸炎とCrohn病であった。しかし、なかには手術検体における詳細な組織学的検討を行っても潰瘍性大腸炎とCrohn病の鑑別が困難な症例が存在していた。だが近年は、Crohn病類似の内視鏡像を示すX連鎖リンパ増殖症候群(XLP)type 2や、潰瘍性大腸炎類似の区域性腸炎を示す家族性地中海熱など、単一遺伝子異常による原発性免疫不全症に伴う慢性腸炎(monogenic IBD)が報告されたことから、診断困難例の診療にあたって鑑別にあげるべき疾患が多様化している。炎症性腸疾患の生検診断で重要な所見は、陰窩の萎縮、陰窩のねじれ、高度単核細胞浸潤を伴うbasal plasmacytosis、肝彎曲部より肛門側でのPaneth細胞化生、の4つである。しかし、monogenic IBDの生検組織では4所見のうち高度単核細胞浸潤を伴うbasal plasmacytosisを欠く症例が多く、この所見の有無が潰瘍性大腸炎やCrohn病とmonogenic IBDを鑑別する際の重要なポイントとなる可能性が示唆された。
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