症例
完全内臓逆位の出生前診断情報と、出生後の遷延する呼吸障害から原発性線毛運動不全症の早期診断にいたった乳児例について
梅津 英典
1
,
佐藤 工
,
敦賀 和志
,
佐藤 啓
,
遅野井 香純
,
杉本 和彦
,
西澤 尚徳
1国立病院機構弘前病院 小児科
キーワード:
気胸
,
胸部X線診断
,
電子顕微鏡検査法
,
呼吸障害
,
出生前超音波診断
,
心エコー図
,
線毛運動障害
,
内臓逆位症
,
体位ドレナージ
,
持続気道陽圧
,
早期診断
,
胸部CT
Keyword:
Drainage, Postural
,
Microscopy, Electron
,
Ultrasonography, Prenatal
,
Respiration Disorders
,
Ciliary Motility Disorders
,
Pneumothorax
,
Echocardiography
,
Radiography, Thoracic
,
Situs Inversus
,
Early Diagnosis
,
Continuous Positive Airway Pressure
pp.1536-1542
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2021050469
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症例は女児で、出生前胎児心臓超音波で完全内臓逆位(SIT)と診断され、在胎40週3日に自然分娩にて出生した。アプガースコアは8点/9点。出生後SpO2の低下が増悪したため日齢2にNICUに入院した。入院時は気胸による呼吸障害と診断し保育器に収容し、Infant Flowシステムによるnasal CPAPを開始したが、日齢4に胸部X線で左中肺野に無気肺像を認め、積極的な体位ドレナージや鼻汁吸引も併用した。日齢14よりbiphasic cuirass ventilationを開始したところ、日齢25の胸部X線にて無気肺像は消失したため、定期的な鼻腔吸引と体位ドレナージを指導後、日齢26に退院した。SITに加え生後間もなく出現した呼吸器症状から原発性線毛運動不全症(PCD)を疑い、生後2ヵ月に鼻粘膜生検を施行した結果、ほとんどの線毛でダイニン外腕と内腕の欠損を認め、PCDと確定診断した。8ヵ月現在成長・発達良好に経過している。
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