研究
産後健診時における母乳栄養確立阻害因子の検討
志水 香保里
1
,
龍見 信哉
,
山崎 峰夫
1純心会パルモア病院 産婦人科
キーワード:
危険因子
,
経産回数
,
硬膜外麻酔
,
哺乳びん栄養補給
,
帝王切開術
,
母性年齢
,
母乳栄養
,
産科麻酔
,
ロジスティックモデル
,
うつ病-分娩後
,
自己評価式抑うつ尺度
Keyword:
Depression, Postpartum
,
Breast Feeding
,
Bottle Feeding
,
Parity
,
Maternal Age
,
Cesarean Section
,
Logistic Models
,
Anesthesia, Epidural
,
Risk Factors
,
Anesthesia, Obstetrical
pp.350-354
発行日 2019年3月10日
Published Date 2019/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2019214919
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母乳栄養確立に及ぼす多数の因子の影響について検討した。平成22年1月~平成28年12月までの7年間に当院で出産した妊産婦のうち、単胎の正期産で、妊娠・分娩・産褥それぞれの母体の状況と1ヵ月健診時の乳幼児栄養方法について調査した。1ヵ月健診時に母乳のみを母乳群3471例(年齢中央値32歳)、混合栄養または人工乳栄養は人工乳補足群689例(年齢中央値33歳)とした。両群間おいて、各項目をスコア化し、頻度を比較した。また、年齢について、母乳率低下に影響する25歳未満、25~34歳、35歳以上に分類して検討を行った。その結果、母乳群は人工乳補足群と比べて、母体年齢が若く、25歳未満と35歳以上の割合は少なかった。人工乳補足群では、母乳群より初産婦の割合が多く、硬膜外麻酔併用、帝王切開、吸引分娩の頻度が高かった。出血量やエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)が9点以上あった割合は、人工乳補足群が多かった。出生時のサイズは両群間で有意差はなかったが、母乳群の方が、2500g未満の頻度が低かった。母乳栄養確立阻害のリスク因子については、初産婦、25歳未満および35歳以上、硬膜外麻酔、入院中のEPDS高値、帝王切開、退院2週間後のEPDS高値があげられた。年齢による母乳率低下がみられたため、25歳未満と35歳以上を検討項目に加えて人工乳補足群に対する母乳群の影響について多変量解析を行った。その結果、母乳栄養確立阻害のリスク因子は、初産、25歳未満および35歳以上、硬膜外麻酔、入院中のEPDS高値、帝王切開、退院2週間後のEPDS高値であった。
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