症例
Reversed differential cyanosisをきたした上心臓型総肺静脈還流異常症の2例
田村 明子
1
,
大野 光洋
,
堂本 友恒
,
大谷 英之
,
常井 幹生
,
星加 忠孝
1鳥取県立中央病院 小児科
キーワード:
チアノーゼ
,
下肢
,
酸素飽和度測定
,
上肢
,
心エコー図
,
鑑別診断
,
胎児循環遺残症
,
肺静脈還流異常
,
Alprostadil Alfadex
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Oximetry
,
Cyanosis
,
Persistent Fetal Circulation Syndrome
,
Echocardiography
,
Upper Extremity
,
Lower Extremity
,
Prostaglandin E1-alpha-cyclodextrin
pp.355-358
発行日 2019年3月10日
Published Date 2019/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/J00621.2019214920
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症例1は日齢0の男児で、在胎37週5日、出生体重2974gで、自然経腟分娩で出生した。出生直後、SpO2が60~70%低値で、呻吟、多呼吸を認めた。筋緊張は低下し、自発運動はほとんど見られず、全身浮腫が認められた。上肢SpO2が60%台前半、下肢は70%台前半であった。胸部X線画像で肺うっ血と右緊張性気胸、心エコー上で右心室の拡大と左心室の扁平化、動脈管および卵円孔を介する右左短絡が認められた。以上より新生児遷延性肺高血圧症と診断し、100%酸素による人工換気、NO吸入療法、右胸腔ドレナージを開始した。SpO2の上昇は認められず、血圧低下が認められた。パルスオキシメーターのプローブを貼り換え後、上肢より下肢のSpO2が高いことに気づき、エコー検査にて、無名静脈に流入する異常血管を認め、総肺静脈還流異常症(TAPVR)と診断し、心内修復術を行った。その後は、5年5ヵ月の時点で、てんかんの合併はあるが、発育・発達は良好であった。症例2は、日齢0の男児で、在胎38週5日、出生体重2931gで、予定帝王切開で出生した。出生直後、右上肢SpO2が80%台と低値であった。上肢SpO2が93%、下肢SpO2が97%であった。胸部X線画像でうっ血と小さなエアリーク、心エコーでは右心室の拡大と左心室の扁平化、動脈管、卵円孔を介する右左短絡を認め、肺静脈が垂直静脈を経て上大静脈に流入していた。以上よりTAPVRと診断し、心内修復術を施行した。その後は、3才6ヵ月の時点で、残存肺高血圧に対し、内服治療中であるが、発育発達は良好であった。
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