特集 加齢と造血
2.加齢とクローン性造血
藤野赳至
1
,
北村俊雄
2
Takeshi Fujino
1
,
Toshio Kitamura
2
1東京大学医科学研究所 先端医療研究センター細胞療法分野
2東京大学医科学研究所 先端医療研究センター細胞療法分野 教授
pp.1569-1578
発行日 2018年10月30日
Published Date 2018/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/52018111569
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近年の大規模シークエンス解析により,健常者においても白血病で同定される遺伝子変異を1つ以上有するクローン性の造血(clonal hematopoiesis:CH)が起こっていることが明らかとなった。クローン性造血が認められる集団では,造血器腫瘍の発症リスクが有意に高いことも示され,悪性腫瘍の発症機序を考える上で極めて重要な事実として捉えられている。さらに,クローン性造血を有する場合には冠動脈疾患や脳梗塞の発症リスクが上昇することから,その影響は造血系にとどまらないことが示唆されている。将来的には,クローン性造血をスクリーニングする妥当性の評価や,治療可能性を探索することが重要であると考えられる。