小特集 実臨床における多発性骨髄腫のHot topics
1.多発性骨髄腫における継続治療を考える2)基礎的視点から考察する骨髄腫治療における継続治療の意義
古川雄祐
1
,
菊池次郎
2
Yusuke Furukawa
1
,
Jiro Kikuchi
2
1自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 教授
2自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 准教授
pp.747-754
発行日 2018年4月30日
Published Date 2018/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201805747
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免疫調節薬(IMiDs)とくにlenalidomideは,継続的な使用により骨髄腫患者の予後を改善する。これはIMiDsが治療後に残存する骨髄腫幹細胞をターゲットとするためである。そのメカニズムの1つとして,骨髄間質細胞との接着によるEZH2不活化によりIKZF1の転写が亢進することが考えられる。一方,プロテアソーム阻害剤はMタンパク産生の旺盛な成熟クローンに有効であるが,継続して用いることによって成熟クローンの供給源である骨髄腫幹細胞を枯渇させる。プロテアソーム阻害剤による継続治療は,17p欠失を有する例には必須である。分子病態を理解した上で適切な薬剤を継続的に使用することは,多発性骨髄腫の治療成績向上に大きく貢献する。