小特集 多発性骨髄腫の最新治療
1.多発性骨髄腫の病態・薬剤耐性
古川雄祐
1
,
菊池次郎
2
Yusuke Furukawa
1
,
Jiro Kikuchi
2
1自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 教授
2自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 准教授
pp.553-563
発行日 2018年3月30日
Published Date 2018/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201804553
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多発性骨髄腫は,14q転座ないし染色体高二倍体化をinitiating mutationとして発症する。これらの変異によって生じた骨髄腫幹細胞が初期から多様なサブクローンを産生し,複雑な階層構造をとることが明らかになっている。高二倍体化によって発症した骨髄腫はダーウィン型の枝分かれ進化をし,骨髄微小環境や免疫応答が進展に影響するため免疫調節薬(IMiDs)が有効である。一方,約20%の症例は中立進化をするため,IMiDsの効果が弱く,プロテアソーム阻害剤を必要とする。また,成熟したクローンはプロテアソーム阻害剤に感受性が高く,骨髄腫幹細胞を含む未分化なクローンはIMiDsによって排除される。多様なクローンの存在と薬剤感受性の違いは,治療戦略を立てる際に重要なファクターとなる。