特集 血液疾患とクローン性
2.クローン性造血異常 4)多発性骨髄腫のクローン性
古川雄祐
1
,
菊池次郎
2
Yusuke Furukawa
1
,
Jiro Kikuchi
2
1自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 教授
2自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 准教授
pp.869-879
発行日 2014年5月30日
Published Date 2014/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201406073
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多発性骨髄腫は形質細胞がドライバー変異(14q転座・高二倍体化)によってがん幹細胞化し,そこにstepwiseに付加的遺伝子異常が加わることで,monoclonal gammopathy of undetermined significance(MGUS)→無症候性骨髄腫(smoldering myeloma)→症候性骨髄腫→形質細胞性白血病と,linearにevolutionしていくと考えられてきた。ところが,最近の次世代シークエンスや高感度アレイによる解析の結果,すでにMGUSの段階で多様なクローンが存在し,枝分かれ状の複雑な階層構造を有することが明らかになってきた。病態進展の本態は,変異の蓄積よりはクローン構造の変化が主体と考えられる。治療成績のさらなる向上のためには,クローン多様性を考慮した治療戦略が必要であろう。