特集 多発性骨髄腫治療の最前線2017
1.多発性骨髄腫における免疫病態
古川雄祐
1
,
黒田芳明
2
,
菊池次郎
3
Yusuke Furukawa
1
,
Yoshiaki Kuroda
2
,
Jiro Kikuchi
3
1自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 教授
2自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 助教
3自治医科大学 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部 准教授
pp.1239-1246
発行日 2017年8月30日
Published Date 2017/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201709023
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多発性骨髄腫はclass Ⅰ HLA,soluble MICA,PD-L1を発現して,NK細胞やキラーTリンパ球などのエフェクター細胞による免疫排除を免れている。免疫調節薬(IMiDs)はPD-L1の発現を抑制するとともにエフェクター細胞を活性化し,免疫環境を改善することで抗骨髄腫効果を発揮する。したがってIMiDsと治療用抗体の併用はきわめて合理的かつ有効な治療法である。また,プロテアソーム阻害剤もclass Ⅰ HLAの発現やMICAのsheddingを抑制して抗骨髄腫免疫を増強するため,IMiDs耐性例などにおける抗体療法への組み込みが期待される。すでに抗SLAMF7抗体エロツズマブが臨床的に成果を上げているが,今後,抗CD38抗体daratumumabなども加わり,抗体医薬は治癒を目指す骨髄腫治療戦略に不可欠な地位を占めると考えられる。