特集 小児造血器腫瘍の特色 ~分子的理解から治療開発まで~
2.小児急性骨髄性白血病の分子的理解と臨床応用
松尾英将
1
,
足立壯一
2
Hidemasa Matsuo
1
,
Souichi Adachi
2
1京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
2京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 教授
pp.1513-1521
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201611029
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小児急性骨髄性白血病(AML)の予後は近年改善がみられるが,さらなる治癒率向上には詳細な分子機構の解明が不可欠である。AML発症機構としては従来2-hitモデルが提唱されてきた。しかし大規模シーケンスにより新規遺伝子異常が同定され,本モデルの限界が示された。小児AMLも成人同様に腫瘍内不均一性が高い疾患であるが,一方で成人とは異なる分子機構も明らかになりつつある。また,予後因子解析によりさらなる層別化治療につながる遺伝子異常が見出されている。今後,これらの知見に基づく新規薬剤の開発や層別化治療の確立が期待される。